〜絵本を読んで〜






良く晴れた日の午後。
散花が1人窓辺に佇んでいると、
ぱたぱたと元気良く走ってくる足音が聞こえた。
散花「あれは……」

足音の主を確かめると、自然と
ほころぶ散花の顔。
散花「うるちゃん」
潤「ちーちゃんですぅ〜」
散花「そんなに慌ててどうしたの?」
潤「このご本をもらったです」
そう言って嬉しそうに絵本を見せる。
潤「でも、読めないです」
そう言ってしょんぼりと耳を垂らす潤。

散花「じゃあ私が読んであげようか?」
潤「ホントです? 嬉しいですっ」

散花「ふふ。じゃあお茶を用意してきましょうね」
散花「うるちゃんお待たせ」
潤「早く読んで欲しいです〜」

耳はお茶を淹れに行った先で露姫に
つけられたようです。
散花「それじゃあ、読むね。
『昔々ある所にー……』」


潤、初めての絵本に興味津々。
散花「『その時誰もいないはずの夜道から……』」
ぎゅっ。
散花「うるちゃん? 恐くなっちゃった?」
潤「うん……」
散花「続き、どうする?」
潤「……でも、最後まで知りたいです」
散花「じゃあこうしようか」
潤「抱っこです〜」
散花「どう? 少しは恐くない?」
潤「はいです〜」
散花「『こうして末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたしー……』」

潤「面白かったです〜」
散花「良かった」
潤「ちーちゃん、また明日も読んで欲しいですぅ」
散花「良いわよ」
潤「ありがとです〜」



意外と小さい子の面倒見が良かったちるちる。
そして翌日。